ホンダヨンダメモ/Z

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安西水丸展(世田谷文学館)

仕事を少し抜けて,クルマで世田谷文学館へ.「イラストレーター 安西水丸展」を観る.4月にはじまって8月いっぱいが当初の会期だったが,9月20日まで延長になった.

チラシがよくできているし,いつもながらチケットもちゃんとデザインしてある.

 

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なくなってもうずいぶん経つのだ.安西水丸は見ればなかなか良いと感じるし,こうやってまとめてあると,ずいぶんとさまざまなところにその絵は描かれていたのだなと思う.

しかし同時に頭の中に保留マークが点る。その理由はたぶんいろいろあるのだけれど、たとえばどの絵にもかぶさっているほんの少しの抒情が,わたしの気持ちを遠ざける。チラシには「ユーモアと哀愁」とあるが,その「湿り気」と肌が合わない感じというか.和田誠とは世界との対峙の仕方,距離の取り方が決定的に違う。その違いには「あの時代」も関わっているはずだ。嵐山光三郎や糸井重里の名前も展覧会にはあったが,そういう人たちの時代.

 

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ゆえに,種類豊富なグッズ類にも,なんとなく食指が動かず,なにも買わなかった.そのかわりというか,喫茶どんぐりで水丸がカレーを食べていたので,わたしもカレーを食べた.

 

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同時に開催されていた「2021年度コレクション展前期 受贈記念 夷齋先生・石川淳」が良かった.長男の石川眞樹氏より自筆原稿の類いや作家・研究者からの書簡の寄贈を受けたと.それらの展示.作家たちはけっこう原稿用紙で手紙を書いているのがおもしろい.加藤周一がものすごく小さな字ではがきを埋めている.三島由紀夫の字はやはり三島っぽい.

安西水丸展のチケットで入れる.