ホンダヨンダメモ/Z

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『ハイジ アルプスの物語』(2015年、スイス/ドイツ)

恵比寿ガーデンシネマで公開中の映画『ハイジ アルプスの物語』を観た。

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アラン・グスポーナー監督、ハイジ役はオーディションで500人から選ばれたというアヌーク・シュテフェン。そしておんじはブルーノ・ガンツ。ハイジもおんじも、スイスドイツ語(のなかでもグラウビュンデン方言)で話す。シュテフェンはこの地方の女の子なのだけど、スイス人のガンツもこの方言は先生について習ったとか。そしてドイツでは「ドイツ語吹き替え版」で上演されたらしい。

あの長い物語を2時間に収めるのだから、プロットのひとつひとつを深く掘り下げて表現できるわけではない。しかもおなじみの話だから、ストーリーをたどるだけであっさりと終わった印象は残る。それでも、生き生きとしたハイジの造形、ガンツ・おんじの存在感、おばあさまの暖かさをじゅうぶんに表現したハンネローレ・ホーガーの演技が、この映画を見ごたえあるものにしている。

それにそれに、ロッテンマイヤーさん(カタリーナ・シュットラー)がキリッと美人で毅然としていて、良いのだった。厳しさの背後にお嬢様への愛情があることをきちんと演じているし、猫アレルギーなどユーモラスな場面もじょうず。旦那さまご帰還の時に一瞬だけ見せるうれしそうな表情・・・これっててそうか、ヘンリー・ジェイムズ『ねじの回転』だね、幽霊騒ぎもあるし。あと、ナイトキャップかぶったパジャマ姿にちょっと萌えた。

基本的には原作に忠実、というかアニメに忠実、というか、なんだけれど(宗教的なテーマは描かれない)、ひとつだけオリジナルなところがある。それはシュピーリ(シュピリあるいはスピリ)へのオマージュなのだろう。シュピーリについて、そして彼女が生きたスイスに関しては、森田安一『『ハイジ』の生まれた世界 ヨハンナ・シュピーリと近代スイス』(教文館、2017年6月)に詳しい。

恵比寿ガーデンプレイスでは、「恵比寿麦酒祭り」なるものが開催されていた。スーツ姿のおじさんだらけだったから、今日は関係者の日だったのかもしれない。ビール祭りで夏が終わっていくこと、本場を思わせる。ちょっとしみじみするのだった。

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