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『「小顔」ってニホンではホメ言葉なんだ!? ドイツ人が驚く日本の「日常」』

原作サンドラ・ヘフェリン、漫画流水りんこ。KKベストセラーズ、2015年10月。

「小顔」ってニホンではホメ言葉なんだ!? ~ドイツ人が驚く日本の「日常」~

「小顔」ってニホンではホメ言葉なんだ!? ~ドイツ人が驚く日本の「日常」~

  • 作者: サンドラ・ヘフェリン,流水りんこ
  • 出版社/メーカー: ベストセラーズ
  • 発売日: 2015/09/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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 いわゆるコミック・エッセイもの。サンドラ・ヘフェリンさんは日独ハーフ、日独バイリンガルで、生まれてから大学卒業までドイツで過ごし、そのあと日本で20年近く暮らしているかた。タイトルはあれだが、「実際のドイツ人」とはどんな人たちなのか、をヘフェリンさんが語り、それを流水さんが漫画にした、という本。日本はすごいとか、ドイツはだめ、というものではまったくない。読後感がとても良かった。

漫画になっているところも面白いのだが、漫画と漫画のあいだに挿入されているヘフェリンさんのコラムが示唆に富んでいるのだ。

ドイツ人にとってルールの第一位は国の法律だが、日本では国の法律よりも内輪の規定が優先される。日本語の「迷惑」という概念をドイツ語で説明するのは難しい。そんな内輪の「以心伝心」よりも、キリスト教的価値観が上位にある。日本人は初対面で相手を褒めたり、容姿のことを言ったりするが、ドイツではあまりそういうことはしない。その背景には、duとSieの使い分けに表象される距離感がある。日本には個々の集団で細かいマニュアルがあり、労働者はそれを超える行動を取らないが、ドイツ人はマニュアルよりも目の前の客に対する「個人レベルの優しさ」が通ることが多い…などなど。

ドイツ人は、生きる・行動するに際しての基準が日本人よりもちょっと上位の審級にある場面が多い、ということなのだろうか。観念論の国ドイツ、ということのあらわれ、なのだろうか。このコラムはいろいろな思考に誘われるところがあって面白かった。

最後のコラム、内容はここでは書かないけれど、中東からの難民問題でドイツが国として取っている行動にもつながることで、そのような社会正義への意識は、ドイツの人々が戦後少しずつ育んできたものなのだろう。

ドイツ人が人物像としてポジティブに捉えるのはspontanな人、なんだそう。へえ−。